親が住宅ローンを払えない...住宅ローン破綻から救う3つの方法 (その2)
まさか自分の親が...
今回は、あなたの親が「住宅ローンを払えない」という事態に陥ってしまった場合の、解決方法についてお話ししていきます。
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相談が遅れるケースが多い理由
孫が生まれて大変な時に、子どもに心配をかけたくない。
あなたも高齢になれば、きっと同じことを思うのではないでしょうか。
もしくは、子どもの世話にはなりたくないと、意地を張って隠してしまうことも考えられます。
経済的な事というのは、たとえ親子の仲であっても、なかなか言いづらい...言いたくない...そう思い、相談できない親は多いものです。
孫を連れてしょっちゅう会っていたのに、一度もそんな話しがなかったので、まさかそこまで困っているとは思わなかった。
こんなことも、よくある話しです。
自ら銀行へ行ってくれればまだ良いのですが、プライドが邪魔をしてそうすることも出来ず、ズルズルとそのまま時が経ち、もうどうにもならない状態になって、はじめて家族に打ち明ける。
最悪の場合、競売の通知がきてしまい、隠しきれずに発覚するという事もあるでしょう。
強い責任感のあらわれとも言えるのでしょうが、そうなってからでは出来ることが限られてしまいます。
もっと早くお会いしていれば...残念ながら、そう思わざるをえない状況にまでなってしまっていたケースもありました。
しかし、私たちのようにインターネットで情報を取る習慣がなければ、"なんとか自力でお金を用意するしかない"と、自分を追い詰める事しかできず、他の方法を知ることなく時間がたってしまいます。
そして、競売にかけられてしまって、そこではじめて現実を受け入れるという親も、少なくないのが実際のところなのです。
親を住宅ローン破綻から救う3つの方法
分かった時点で、一日も早くご相談いただきたいところではありますが、いきなり「相談しに行こう」とだけ言っても、感情的になって、なかなか前に進まないかもしれません。
そこから取れる方法として、ここでは3つ挙げておきたいと思いますが、もちろん条件や制限などがあるものですから、誰しもが取れる方法というワケではありません。
あなたの親御さんの状況だと、どの方法が有効かも含めて、専門家からアドバイスをもらった方が間違いないでしょう。
①親子間売買
字のごとくですが、親子の間で不動産の売買を行う契約です。
主に住宅(自宅)の売買をすることで、子が親の住宅を買うケースもあれば、その逆もあります。
たとえば、親がもう住宅ローンを払い続けることが出来ないため、あなたが親御さんの自宅を買うことで、ご両親がそのまま住み続けられるようにするという場合には、この親子間売買の取引になります。
しかしながら、あなたが親子間売買にあたり、住宅ローンを組むということになると、融資をしてくれる金融機関はあまり多くはありません。
なぜなら、金融機関からしてみれば、親御さんに万が一のことがあれば、そのままあなたが相続をすることになりますので、わざわざ相続を待たずに、売買を行うというのはおかしいと考えるからです。
仮に、あなた一人が相続人でなく、親戚や兄弟にも相続の権利があったりすると、その不動産を相続財産からはずす目的ととられたり、身内で見せかけの売買取引を行い、住宅ローンとして貸したはずのお金を、別の目的に使われる可能性を疑ったりするのです。
ただし、親のローンが今回の売買取引によって完済できる、ということであれば、借入先の金融機関にとっては、全額回収できるワケですから、問題なくOKしてくれるでしょう。
売買の価格は大きなポイントであり、高すぎても低すぎても何か別の目的を疑われてしまうため、慎重に決めなければなりません。
一度、審査に落ちてしまうと、その履歴が半年は残ってしまいますから、しっかりと準備をしてから申し込みを行うべきでしょう。
それから、あなたと親御さんの間で勝手に進めてしまうのではなく、他にも相続人にあたる人物がいるのであれば、事前に了解を得ておくことと、可能ならば書面に残しておくことをオススメします。
②リバースモーゲージ
原則として、住民票を置いている住宅を担保に、金融機関から借り入れが出来る制度で、主に55~65歳以上を対象としたシニア層向けの貸付制度です。
現時点での不動産評価額の50%~70%を融資上限額として、一括もしくは年金型でお金を借りる方法です。
借入元本の返済は、債務者本人の死亡時か契約満了時に、不動産を売却することで一括返済をするため、それまでは利息のみを支払うだけということになります。
将来的には、不動産を売却することを前提としているため、あらかじめあなたを含む相続の権利を持つ人物全員から、同意を得る必要があります。
また、融資出来る物件の種類やエリア、申込が出来る年齢の制限や契約期間など、金融機関ごとに細かく条件が決められていますので、事前によく確認してから申し込むよう、気を付けなければなりません。
現在、まだ残債があるというケースにおいては、借り換えのような形で利用できる銀行もいくつかあります。
ただし、このリバースモーゲージは、メリットばかりではなく、デメリットも多く存在していますので、それぞれ見ておきましょう。
<メリット>
・住み慣れた家に、そのまま住み続けることが出来る。
・資金使途に制限がないので、自由に使える(一部金融機関は制限あり)
・老後の生活資金を確保できる
・高齢でも借り入れができる
・月々のローン返済が利息のみになるため、毎月の金銭的負担が軽くなる(借換時)
<デメリット>
・年に一回、評価額の見直しが行われ、限度額が変動する(場合によっては、融資停止もある)
・契約満了時に生存している場合は、一括で返済をすることになる(終身契約は死亡時)
・一般市場での売却相場は80%、それよりは低い融資額であるため、売却するよりは損になる
・子どもに家という資産を残せなくなる(子が一括返済をする場合を除く)。
③売却
先に挙げたリバースモーゲージにおいて、もしも存命中に一括返済をしなければならないとなってしまえば、結局はそこで売却せざるをえなくなります。
今よりもっと年老いてからの引越し...その精神的・肉体的な負担はとても大きいでしょう。
それならば、はじめから売却を選択するというのも、一つの方法です。
もしかしたら、ご両親は今の広すぎる家はもういらない、掃除やメンテナンスが大変だと思っていらっしゃるかもしれません。
それに、お子さまが独立してしまえば、夫婦二人きり。全部の部屋を使ってはいないのではないでしょうか。
生活圏が変わらないところにも賃貸物件はあるでしょうし、固定資産税の支払いがなくなることもあり、一般的には住宅ローンより賃料の方が安くなる傾向にあります。
高齢になってからは、一戸建てより管理の行き届いているマンションの方が、住みやすくて楽だという声もありますから、それも一つの考え方かもしれません。
しかし、ここで問題になるのが、まだ住宅ローン残債があるケースです。
売却をすることで、完済できれば良いのですが、残債よりも安くなってしまう場合、通常はそこで残りを一括返済することになります。
残りを一括返済する余裕がないということであれば、任意売却という選択もあります。
詳しくは、以前お書きしたブログにてお話ししていますので、こちらも併せてお読みいただければと思います。
まとめ
ここまで、住宅ローン破綻を避ける方法についてお話ししてきましたが、何より一番大切なのは、親御さんの意向でしょう。
そこはやはり、時間をとって話し合いを重ねていくしかありません。
しかし、すでに返済が滞ってしまっている(あるいは、滞ることがわかっている)という状況であれば、あまりのんびりしているワケにもいきません。
もしも話し合いをする中で、どうしてもお互い感情的になって、先に進まないとう時には、専門家を交えて話をしてみることで、状況が変わることもあるでしょう。
私がサポートしてきたご家族の中にも、はじめはかたくなに息子さんの話しを聞かない親御さんがいらっしゃいました。
困り果てた息子さんからのご相談でしたが、私があいだに入り、お気持ちを伺いながらひとつずつご不安を解消して差し上げることで、最終的にはお子さまが案じている"老後の生活"への思いを受け止め、一歩前へと踏み出されました。
返済への不安がなくなったことから、言い合いになることもなくなったようで、夫婦仲良くハイキングに出かけたりするようになった、などとお聞かせいただき、私もこのご縁に感謝せずにはいられませんでした。
自分を大事に育ててくれた親の、老後の生活が破綻することなど、望んでいる子は誰ひとりいません。
その想いは絶対に届くと、私は信じています。
『住宅ローン”麹町”相談ルーム』の若林までご連絡下さい。
秘密厳守・相談無料ですので、ご安心下さい。
業界第一歩は、建設会社系の不動産会社に勤務し売買の一般仲介業務に従事しておりました。東京の都心を中心に、東京23区をエリアとして営業マンとして忙しく動き回っておりました。
その後、仲介業務だけでなく、マンションの一棟買取リノベーション、一部屋毎の買取リノベーション、不動産競売、一戸建ての建売などを経験し、2007年、Jハーモニックス不動産株式会社として独立し現在に至っております。
独立後は、首都圏と東北の仙台(生まれが仙台市のため)に営業拠点を置き、マンションのリノベーション事業、不動産競売、そして、任意売却を中心に住宅ローンの救済コンサルタントとして、東北から西は愛知県まで飛び回っております。
住宅ローンは、長期にわたりローンの支払いが続くものです。その間、いろいろな要因で返済が難しくなる場合もあります。 生活の基盤を固め、ご家族の幸せのために、ご自宅探しを始め、一大決心でローンを組んでご自宅を購入。その後は、様々な困難を乗り越えて、一生懸命にお仕事をしてローンの返済を続けてきた。しかし、どうしようもない状況に直面してしまった方もいらっしゃいます。お話しをよくお聞きし、お客様おひとりおひとりにとって最善の方法を話し合い、解決していく。
現在は、このようなコンサルティングの仕事もしております。この経験を活かし、無理のない不動産購入のお手伝いもさせて頂いております。
業界30年の経験を活かし、微力ながら、皆様の不動産のご購入、ご売却、相続問題、住宅ローンなど債務返済のご相談を承っております。