「任意売却と自己破産」 それぞれ行うタイミングと周りへの影響! 第三話
転職や離婚などの状況の変化や、返済金額が、ある時から一気にあがってしまう「ゆとり返済」などの影響を受けて、ギリギリの生活をしているにも関わらず、住宅ローン返済の見通しが立たなくなったり、滞納をしはじめてしまったり...
こんな状態が、一体いつまで続くのだろうか。
そんな時に、あなたは任意売却という方法があることを知り、不動産の査定をしてもらった。
と、そこまでは良かったものの、
査定結果によると、ローン残債よりも査定金額が大きく下回り、売れたところで500万円もの借金をかかえることになる...
これではもう返していくことなんて出来ない。
となると、自己破産をするしか、もう選択肢はない。
もしかしたら、あなたもそう思っているのではないでしょうか。
前回は、「自己破産」できないケースは、どんなケースなのかについて見てきました。
今回は、任意売却は、自己破産申し立ての前にしたほうが良いのか、それとも、自己破産申し立ての後にしたほうが良いのかについて、見ていきます。
任意売却は自己破産より先?それとも後?
自己破産がどういうものかについてお話ししてきたことで、あなたに財産がある状態なのか、ない状態なのかで、自己破産にかかる費用なども変わってくることは、お分かりいただけたかと思います。
そのことからも、任意売却は、やはり、先に行って、財産がない状態で自己破産の申し立てをする方が、あなたにとっての負担も少なくてすむのではないでしょうか。
しかしながら、すでに自己破産の申し立てをしてしまっている状態で、ご相談に来られる方もいらっしゃいます。
その場合には、もう任意売却ではなく競売しかないのか、気になるところですよね。
その点を、詳しく見ておきましょう。
タイミングによって変わる任意売却の形
すでに自己破産の申し立てをしている場合
あなたの持ち家を含む財産は、破産管財人の管理下にありますので、任意売却をするか競売にかけるかは、破産管財人が決めることになります。
そして、もし任意売却をすることになったとしても、販売価格や引越し費用など、あなたの希望を通すような交渉は出来ませんので、任意と言っても「あなたの意思による売却」とは言い難いでしょう。
又、通常の任意売却においてはかかりませんが、"破産財団組入"という名目で、売却代金の3%~5%、高いと10%を支払うことになります。
選任される管財人によって組み入れるパーセンテージが異なります。
管財人がついている時点で、割高になってしまうことが多いでしょう。
まだ自己破産の申し立てをしていない場合
この場合には、持ち家などを処分してから、自己破産の申し立てをすることで、同時廃止事件に出来ることが、あなたにとっても負担が少なくてすむでしょう。
なかには、"不当に安く処分した"として、免責不許可の原因になるからと、自己破産を先にすすめてくる弁護士もいます。
ですが、冷静に考えて、住宅ローンが払えなくなったから自宅を売却するのに、不当と判断されるほどに安く売りたいと思うでしょうか。
裁判所から"不当に安くした"と判断されるということは、それ相応の価格で販売をしているからです。
「買い手がつかないので、少し値下げした」レベルではない、ということです。
まだ、破産申し立てをしていないのであれば、あなたの負担を考えても、同時廃止事件にできるのであればした方がいいでしょう。
状況によって、対応が異なったりすることもありますので、ネット上にある情報だけを見て、あれとこれをすれば同時廃止事件に出来るだろう、などといった自己判断はキケンです。
あなたの状況から考えうる策の全てが、ネット上にのっていることは、まずないと言えるでしょう。
そうなってくると、ネットを見ながら自己判断で行ったりせず、経験豊富な専門家に相談しながら、なにか行動する前には、まず確認をしてから行う方が間違いもありませんし、なにより安心です。
住宅ローン返済が絡んでいるのであれば、不動産の専門家の中でも、特に「任意売却」や「住宅ローン」の知識が豊富な専門家を選ぶべきでしょう。
任意売却を専門にしていれば、自己破産をするようなケースも扱ったことがあるでしょうから、良いアドバイスがもらえたり、信頼できる弁護士につないでくれたりします。
もう自己破産しかない...それでも任意売却をする意味
あなたの、「持ち家」という資産も例外ではなく、自己破産の申立てをすれば、破産管財人が行う任意売却か競売にかけられるかして、弁済にあてられることになります。
それならば、あれこれと手続きの必要がある任意売却をわざわざしなくても、自己破産をすることで財産の処分や配当までやってもらった方が、多少高くついたとしても、手っ取り早いし面倒くさくないのでは?
そこまでして任意売却をする意味を見出せない。
そう思う部分もあるかもしれません。
もちろん、全ての人が任意売却を先にすべきだ、とは私も思いませんし、自己破産を先にしているケースも実際にはあります。
しかし、少なくともあなたの借り入れが、まだ住宅ローンのみであるならば、任意売却をした上で、残債の返済を相談することで、自己破産を避けることもできる、と私は考えます。
自己破産によるデメリット
借金がチャラになるなら、自己破産した方が楽じゃない?
そこだけを見れば、確かにそうなのかもしれません。
それでも私が自己破産を避けられると表現するのには、やはり自己破産をすれば、それ相応のデメリットが存在するからです。
たとえば、
●ブラックリストに載る
●職業や資格が、一時的に制限される
●官報に掲載される
これらは、私が挙げる"相応のデメリット"のことではありません。
もちろん、デメリットには違いありませんが、5~7年(どんなにかかっても10年)で信用は回復できますし、職業や資格は手続き中だけなので、そんなに大きな問題ではないでしょう。
それから、官報に掲載されたところで、あなたは今までに官報を読んだことがあるでしょうか。
おそらくないでしょう。
あなたの周りの方が読んでいる可能性は、きわめて低いでしょう。
相応のデメリットではないかと考えるのは、
●まわりへの影響
●財産を失う
この2つです。
次回は、この2つについて、詳しくお話ししていきます。
『住宅ローン”麹町”相談ルーム』の若林までご連絡下さい。
秘密厳守・相談無料ですので、ご安心下さい。
業界第一歩は、建設会社系の不動産会社に勤務し売買の一般仲介業務に従事しておりました。東京の都心を中心に、東京23区をエリアとして営業マンとして忙しく動き回っておりました。
その後、仲介業務だけでなく、マンションの一棟買取リノベーション、一部屋毎の買取リノベーション、不動産競売、一戸建ての建売などを経験し、2007年、Jハーモニックス不動産株式会社として独立し現在に至っております。
独立後は、首都圏と東北の仙台(生まれが仙台市のため)に営業拠点を置き、マンションのリノベーション事業、不動産競売、そして、任意売却を中心に住宅ローンの救済コンサルタントとして、東北から西は愛知県まで飛び回っております。
住宅ローンは、長期にわたりローンの支払いが続くものです。その間、いろいろな要因で返済が難しくなる場合もあります。 生活の基盤を固め、ご家族の幸せのために、ご自宅探しを始め、一大決心でローンを組んでご自宅を購入。その後は、様々な困難を乗り越えて、一生懸命にお仕事をしてローンの返済を続けてきた。しかし、どうしようもない状況に直面してしまった方もいらっしゃいます。お話しをよくお聞きし、お客様おひとりおひとりにとって最善の方法を話し合い、解決していく。
現在は、このようなコンサルティングの仕事もしております。この経験を活かし、無理のない不動産購入のお手伝いもさせて頂いております。
業界30年の経験を活かし、微力ながら、皆様の不動産のご購入、ご売却、相続問題、住宅ローンなど債務返済のご相談を承っております。