任意売却をしたら、今の家にはいつまで住める? 第二話
競売にかけられてしまう前に、任意売却をしたいとは思うけど...
相談したら、今スグ退去、引越しをすることになるのでは...
心の準備が出来ていないのに、話を聞いてみたくて相談に行ったら、考える時間もなく決まってしまって、慌ただしく引越し先を決めて、せかされるように引越し...
そんなふうに、急に状況が変わってしまったらと考えると、「とりあえず相談だけでもしてみたい」と思っても、怖くて相談にも行けませんよね。
任意売却をすることは、あなただけの問題ではなく、ご家族の生活にも大きく関わってくることですから、そのぶん不安も大きいでしょう。
今回は、あなたが任意売却の相談をしにいってから、
・いつまで任意売却をしていられるのか
・買い手が決まってから、いつまで家に住んでいられるのか
・ある程度、引越しの準備をするような時間は取れるのか
など、実際に任意売却をはじめてから、売却を終えて新しい生活をスタートさせるまで、今の家にいつまで住めるのかといった、時間的猶予もあわせて見ていきます。
前回は、①相談から任意売却完了までの期間 ②買い手が見つかるまでの期間 をお話ししました。
今回は、売買契約をむすんでから明け渡しまでの期間 について見ていきます。
売買契約をむすんでから明け渡しまでの期間
購入を希望する人が現れ、その人が債権者側からも買い手として問題ないと判断されれば、売買契約を結ぶことになります。
契約をしてから、あなたが引越しをして、いつを明け渡し(家の引渡し)日にするか、任意売却であれば、買い手と協議をして、ある程度は調整することが出来ます。
競売は強制的な側面がありますから、退去の日を協議することなど一切できませんので、その点は任意売却のメリットともいえるでしょう。
通常は、契約からおおよそ1ヶ月~1ヶ月半といったところですが、ここでよくある3つのご相談を挙げておきましょう。
退去まで出来るだけ長く期間をとりたい
売却が決まって安心してからでないと、新たな生活のこともなかなか考えられない。
だから買い手がついて売却が決まってから、ゆっくりと新たな住まいを探して、あわてることなく引越しをしたい。
契約後の明け渡し日が、協議出来るのであれば、できれば1ヶ月といわず、3ヶ月くらいにしてもらいたい。
あなたも、そう思われるかもしれませんね。
結論から言うと、あなたの希望を伝える事はできますが、たとえ買い手がOKしたとしても、債権者がOKしないでしょう。
なぜならば、任意売却をしている間、あなたの住宅ローン返済はストップしています。
そして、不動産売買契約においては、
『明け渡し日=決済日(手付金をひいた物件残代金の支払い日』
なのです。
債権者は、一日も早く回収したいと思っていますから、買い手がついたのなら、早く決済をして物件の残代金を受け取りたいのです。
そのため、買い手が決まったのに、代金の回収が3ヶ月後というのは、よほどの事情でもない限り、債権者としても納得することはないでしょう。
逆に、債権者からのあなたの印象が悪くなってしまい、もう任意売却そのものを認めない、ということにつながることも考えられます。
そうなれば、もうあなたは競売をするよりほか、選択肢はなくなってしまいます。
引越しといっても手元にお金がない
明け渡し日前までに、あなたは引越しをすませてから、明け渡し日にカギを渡すとともに、買い手から物件残代金を受け取ります。
つまり、引越し費用が出ると言っても、引越しした後の決済日に受け取る残代金から、あなたの手元に一部残る、という考え方になります。
ケースによっては、引き渡し猶予と言って、引越しの関係上、残代金の決済後、家の引渡しを2日や3日遅らせてもらう、という事も、買い手が了承してくれれば出来ない事でもありませんが、これはあくまで、例外的な取り扱いです。
又、最近よくネット上で見かける、「引越し費用を必ず出します」と目を惹くような文言を謳っている業者。
あくまでそれは、債権者側の配慮があった結果として、引越し費用が出せるのであって、「任意売却=引越し費用が出る」と、はじめから決まっているものではないのです。
それから、買い手側に引越し費用を負担してもらう、というケースもゼロではないのですが、そもそも買い手や債権者にとって、あなたの引越し費用を負担する義務はありません。
あなたの状況を考慮して、善意で認めてくれていることなのです。
ヘタに "買い手側に負担してもらう" などと条件をつけてしまうと、それが原因で買い手がつかない、といった事にもなりかねませんので、くれぐれも"出してもらうのが当然"と思わないようにしてください。
最初にもお伝えしましたが、任意売却の相談をはじめて、スグに引越しではありません。
そして、任意売却中は、住宅ローンの返済を待ってもらっているのです。
数か月あるのですから、あなたもその間に、手元に引越し費用を確保する努力をしましょう。
もし確保できない事態がおこってしまったら、その時はどうなるのかなどは、事前にあなたのパートナー会社へ確認しておきましょう。
新しい住まいが見つからず、間に合わない
原則、契約時に取り決めた明け渡し日を延長することは出来ません。
そんなことをしてしまえば、買い手側から賠償請求をされてしまう可能性もありますし、債権者にとっても回収する日が先になることになりますから、あってはならないことです。
新しい住まいが見つからないから、というのは理由になりません。
見つからないというのは、あなたが希望する条件に100%当てはまっていないだけであって、今の家から遠くても狭くても、空き物件は必ずどこかしらに、あるハズですからね。
そうならないためにも、今後のスケジュールなどはしっかり頭に入れ、準備をしておく必要があります。
これまで、「売買契約をむすんでから、明け渡しまでの期間」でよくある3つのご相談について、見てきました。
次回は、「もっと任意売却の期間をのばしたい」について、お話ししていく予定です。
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