住宅ローン返済中に離婚...名義変更はできる⁈ 第一話
不動産の名義というのは、離婚をした後にトラブルになることも少なくありません。
中には、話し合いでまとまらずに、裁判になってしまうケースもあります。
感情的な部分から、つい離婚を急いでしまい、「落ち着いてから連絡を取り合って手続きしよう」と言っていても、いざ、新生活をはじめてしまえば、人の心は変わるものです。
そうなることを想定して...というワケではなりませんが、離婚に伴う不動産の名義変更は離婚時にしっかりと手続きをおこなっておくべきでしょう。
しかし、そうは言ってもまだ住宅ローンが残っている。
完済してからでないと、名義は変えられないのでは?
と、不安に思われることもあるかもしれません。
今回は、住宅ローン返済中にやむを得ず離婚となった場合、住宅ローンの名義や家の名義は変更することが出来るのか。
また、変更した方がいいのかどうか、その必要性もあわせてお話ししていきます。
住宅ローンが残っていても名義変更はできる?
離婚による名義変更についてのご相談をいただく際、住宅ローンがまだ残っているケースというのはとても多いです。
結論から言うと、条件を満たして管轄する機関が承認すれば、住宅ローンがあっても名義変更をすることは出来ます。
家を建てた事がキッカケに、親御さんと同居を始めたが、折り合いがつかなくなってしまい、それが夫婦仲にも影響してしまった。
こういった事態から、離婚へとつながってしまうこともあるでしょう。
ほかにも、
住宅ローン返済が重くのしかかり、金銭をめぐる言い合いが毎日のようにおきてしまったり...
返済をかかえている中での金銭的な価値観が合わず、お金を使う場面においていつも衝突してしまったり...
そこから派生して、あらゆる事がお互いに認め合えず、家事・育児・仕事・人間関係においても対立してしまったり...
又、金銭的な事から始まり、お互い過度に干渉しあうようになってしまうケースも多く見受けられます。
離婚に至る理由は様々ですが、相手あっての事ですし、住宅ローン返済中だからと言って、それだけで離婚を避けるのは、難しい事もあるでしょう。
"名義変更することは出来る"というより、離婚をするからこそ、のちにトラブルにならないよう、こういった名義に関する手続きは、しっかりおこなっておくべきだと言えるでしょう。
不動産における2つの名義人
よし、では離婚前にしっかり名義を変えておこう。
と、一口に"名義変更"と言っても、住宅ローン返済中においては、一つの不動産に2つの名義人が存在します。
同一であるケースも多いのですが、必ずしもそうではなく、各名義人が違うことも実際にはあります。
そのため、それぞれの名義に関しては、まったく別物という認識をお持ちいただく方がよいでしょう。
ここで重要になってくるのが、それぞれの名義人にはどんな権利や義務があるのか。
そして、各名義人を変更するためには、それぞれに管轄への手続きが必要となりますので、詳しく見ていきましょう。
登記名義人
所有名義人と言ったりもしますが、不動産の登記名義人については、法務局の管轄です。
その不動産の所在地によって、決められた法務局がありますので、変更手続きはそちらでおこなうことになります。
この登記名義人は、ローン残債があったとしても、離婚に伴う財産分与として変更することは、そこまで難しい事ではないと言えるでしょう。
夫婦二人の共有名義になっているものを、夫・妻いずれかの単独名義にしたり、夫や妻の単独名義から相手の単独名義にしたり、ということですね。
ただし、法務局の管轄であっても、ローンを組んでいる金融機関との間で、登記名義人の変更についても、「金融機関の承認を得る事」が、ローンの契約に含まれているでしょう。
その場合には、金融機関に承認されなければ、名義変更をすることは出来ません。
たとえば、離婚による財産分与として、住宅ローンは払い続けるが、夫であるあなたは出ていき、妻と子が住み続けるというケースにおいて、その家の登記名義人があなたのままになっていて、変更されていないとします。
つまり、その家の所有権はあなたにあり、あなたが所有している家に、妻と子が住んでいるという事です。
この所有権移転登記という手続きについては、義務ではなく任意とされていますので、手続きにかかる時間や、登録免許税などのお金がかかる場合もあり、おこなっていないままの方もいらっしゃいます。
変更をしていない事自体は、問題ではありません。
そして、あなたは住宅ローンの支払いとともに、毎年かかる固定資産税についても、所有者の義務として納税をすることになります。
しかし、登記名義人は、固定資産税の納税という義務があるものの、第三者に対して、この不動産の所有者が誰なのか、という事を証明できる権利があります。
これは何を意味するかというと、新たな借り入れをする際に、その不動産を担保にする権利があったり、売却などをする際の決定権があったりする、ということなのです。
ちなみに余談ですが...
条件さえクリア出来れば、住宅ローンが残っている不動産であっても、それを担保にお金を貸しているところはあります。
相続などでよく見受けられますが、この登記名義人の変更をしていなかったがために、のちにその不動産の所有権をめぐって裁判をするような、トラブルにつながるケースも少なくありません。
そうなってしまえば、何年も争い続けることになりますから、後々の事も考えて、登記名義人は変更があった時点で、すみやかに手続きをしておくべきでしょう。
手続きは、自分でおこなうことも出来ますが、時間や労力も面から、ご自身では難しいという事であれば、司法書士に依頼することも出来ます。
離婚の財産分与における名義変更であれば、だいたいの相場は10万円位になるでしょう。
その他にも、印鑑証明書や住民票、戸籍謄本など、必要書類の取り寄せにかかる費用もあります。
法務局でも事前相談などをおこなっていますので、手続きに必要となる物やそれにかかる費用など、あらかじめ確認しておかれると安心でしょう。
ただし、法務局での相談は予約制になっていますので、足を運ばれる前に、管轄の法務局へ問い合わせをしてから動くようにしましょう。
次回は、住宅ローンの2つの名義人のうちの、「住宅ローンの名義人」からお話ししていきます。
『住宅ローン”麹町”相談ルーム』の若林までご連絡下さい。
秘密厳守・相談無料ですので、ご安心下さい。
業界第一歩は、建設会社系の不動産会社に勤務し売買の一般仲介業務に従事しておりました。東京の都心を中心に、東京23区をエリアとして営業マンとして忙しく動き回っておりました。
その後、仲介業務だけでなく、マンションの一棟買取リノベーション、一部屋毎の買取リノベーション、不動産競売、一戸建ての建売などを経験し、2007年、Jハーモニックス不動産株式会社として独立し現在に至っております。
独立後は、首都圏と東北の仙台(生まれが仙台市のため)に営業拠点を置き、マンションのリノベーション事業、不動産競売、そして、任意売却を中心に住宅ローンの救済コンサルタントとして、東北から西は愛知県まで飛び回っております。
住宅ローンは、長期にわたりローンの支払いが続くものです。その間、いろいろな要因で返済が難しくなる場合もあります。 生活の基盤を固め、ご家族の幸せのために、ご自宅探しを始め、一大決心でローンを組んでご自宅を購入。その後は、様々な困難を乗り越えて、一生懸命にお仕事をしてローンの返済を続けてきた。しかし、どうしようもない状況に直面してしまった方もいらっしゃいます。お話しをよくお聞きし、お客様おひとりおひとりにとって最善の方法を話し合い、解決していく。
現在は、このようなコンサルティングの仕事もしております。この経験を活かし、無理のない不動産購入のお手伝いもさせて頂いております。
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