住宅ローン返済中に離婚...名義変更はできる⁈ 第二話
不動産の名義というのは、離婚をした後にトラブルになることも少なくありません。
中には、話し合いでまとまらずに、裁判になってしまうケースもあります。
感情的な部分から、つい離婚を急いでしまい、「落ち着いてから連絡を取り合って手続きしよう」と言っていても、いざ、新生活をはじめてしまえば、人の心は変わるものです。
そうなることを想定して...というワケではなりませんが、離婚に伴う不動産の名義変更は離婚時にしっかりと手続きをおこなっておくべきでしょう。
しかし、そうは言ってもまだ住宅ローンが残っている。
完済してからでないと、名義は変えられないのでは?
と、不安に思われることもあるかもしれません。
今回は、住宅ローン返済中にやむを得ず離婚となった場合、住宅ローンの名義や家の名義は変更することが出来るのか。
また、変更した方がいいのかどうか、その必要性もあわせてお話ししていきます。
住宅ローンの名義人
住宅ローンの名義人とは、家の購入にあたって、住宅ローンを組んでいる場合に存在します。住宅ローンを組んでいないとか、住宅ローンを払い終わっている場合には、考える必要はありません。
住宅ローンがまだ残っている場合、こちらの管轄は、借り入れをしている金融機関です。
前提として先にお話ししておきますが、この住宅ローンの名義人の変更というのは、残債が多ければ多いほど、簡単なことではありません。
住宅ローンを組んだ本人の事を債務者と言いますが、金融機関からしてみれば、お金を貸した時点での債務者の返済能力をふまえて、その金額を融資することをOKしたのです。そのため、その後、債務者の変更をすることに対して、金融機関はあまり前向きではないことを理解しておいてください。
ここでは、二つの変更パターンについてお話ししておきます。
100%夫が債務者 → 100%妻が債務者
この場合には、妻だけで残債を返済する能力があるかを、収入証明などを提出して、借り換えの審査を受けることになります。
おそらく、どなたかに連帯保証人もお願いすることになるでしょう。
もちろん、妻ひとりで審査を通すことが出来れば、住宅ローンの名義人を変えることは出来ます。
しかし、一般的には、妻が夫と同じくらいの収入、もしくはそれを超える収入を得ているというケースは、それほど多くありません。
実際には、借り換えの審査をとおすことが難しく、住宅ローン名義は夫のままになっていることがほとんどです。
そのため、戸籍というのは離婚届を出せば外すことが出来ますが、住宅ローンの名義人を変えるというのは、そう簡単に出来る事ではないのです。
夫婦連帯債務 → 100%夫もしくは妻が債務者
こちらも出来ないというワケではありませんが、夫婦連帯債務にすることで、何とかローンが組めたということでしたら、厳しいかもしれません。
借り換えの審査においては、新規申し込みをした時よりも、勤続年数や個人信用情報などクリアしなければならない条件は厳しくなっているでしょう。
こちらも、もし審査を通すことが出来ても、どなたかに連帯保証人をお願いすることになる可能性は高いと言えます。
審査が通らず、この連帯債務の関係が離婚後も続くとします。
そうなった場合は、将来、どちらか一方の返済が滞ったりすれば、即、もう一方の連帯債務者が返済を求められる、という関係が続くことを意味します。
そのため、このケースにおいては、特に、感情的になって離婚をして音信不通...などとたってしまわないように、今後の取り決めなどを冷静に話し合い、必要があれば手元に書面を残しておくのもよいかもしれません。
やむを得ず離婚とはなってしまっても、夫婦二人で決めて、夫婦二人で購入した家なのです。
本来、連帯債務でなくてもそれは同じことですが、必要なところは協力しあっていけるよう、お互いに努めるべきでしょう。
どのパターンであっても、たとえ夫婦間で話し合い、お互いが納得して合意していたとしても、名義に関して判断するのはあくまで金融機関ですから、とにかく審査が通るか通らないか、としか言いようがない部分ではあります。
名義変更をするのは離婚の前?それとも後?
この順番については、とても重要なことになりますので、気を付けておかなければなりません。
まだ婚姻状態にあるときに、離婚をするから財産分与をしておこうと、先に手続きをおこなってしまうと、離婚による財産分与とみなされないことがあります。
そうなると、贈与という扱いになり、贈与税がかかってしまうこともあります。
それから、財産分与にしては、あきらかに多すぎると判断されれば、贈与とみなされる可能性もあるでしょう。
手続きをおこなう際に、戸籍謄本にて離婚した日が確定できてはじめて、離婚に伴う財産分与であると認められますから、名義変更は離婚届けを出した後、という事になります。
次回は、「変更が承認されなかったらどうなる?」ということを見ていきます。
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業界第一歩は、建設会社系の不動産会社に勤務し売買の一般仲介業務に従事しておりました。東京の都心を中心に、東京23区をエリアとして営業マンとして忙しく動き回っておりました。
その後、仲介業務だけでなく、マンションの一棟買取リノベーション、一部屋毎の買取リノベーション、不動産競売、一戸建ての建売などを経験し、2007年、Jハーモニックス不動産株式会社として独立し現在に至っております。
独立後は、首都圏と東北の仙台(生まれが仙台市のため)に営業拠点を置き、マンションのリノベーション事業、不動産競売、そして、任意売却を中心に住宅ローンの救済コンサルタントとして、東北から西は愛知県まで飛び回っております。
住宅ローンは、長期にわたりローンの支払いが続くものです。その間、いろいろな要因で返済が難しくなる場合もあります。 生活の基盤を固め、ご家族の幸せのために、ご自宅探しを始め、一大決心でローンを組んでご自宅を購入。その後は、様々な困難を乗り越えて、一生懸命にお仕事をしてローンの返済を続けてきた。しかし、どうしようもない状況に直面してしまった方もいらっしゃいます。お話しをよくお聞きし、お客様おひとりおひとりにとって最善の方法を話し合い、解決していく。
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